『松尾式』『西方式』小屋裏エアコン・床下エアコン設置住宅・2の補足説明
次の項目に移ろうかと思いましたが、どうしても気になるところがあり前回の事について補足の説明をさせて頂こうと思います。
気になる所は、小屋裏の熱についてです。壁に比べて屋根は過酷な条件下にあるので断熱材は壁の2倍以上は
入れなければならない…という所です。確かに真夏の直射日光を受ける屋根は表面温度は材質によっても異なりますが
およそ70度くらいになると思います。国土交通省の定めた小屋裏換気をつけても小屋裏の温度はおそらく(測った事はありません)
およそ50度近くにもなるのではないかと思います。
直射日光が当たる外壁も所によれば60度を超えます。外壁が受けた熱を排熱する効果があります『通気工法』で建物本体が受ける熱は
かなり軽減されるはずです。
壁は『通気工法』を採用しているのにどうして壁より過酷な状況にあるという屋根に『通気工法』を採用しないのかが不思議でなりません。
『断熱材』は、『熱を断つ』という事ですが、何時までも完全に熱を断ってくれる訳ではありません。断熱材であっても常時過酷な熱の条件下にあれば
熱を透過してしまいます。
例えで言いますと、夏に保冷剤を入れてジュースなどを持ち歩くアイスクーラーも出掛ける時に入れたカチンカチンに凍った保冷剤が帰宅した時
は液体になっています。住宅よりも気密と断熱が良いだろうと思うアイスクーラーでさえ熱が逃げて行くわけです。
アイスクーラーをどこに置くかでもその結果は異なります。炎天下に放置するのと、木陰に置いておくのとでは結果が異なるのはお分かりだと思います。
木陰が通気工法、炎天下に放置することが通気・排熱が無い過酷な状況と言えるのではないかと思います。
他県にあるかないかは確認したことがありませんが、山口県の山口市、防府市、宇部市、山陽小野田市、下関市(県内もその他は確認しておりません)には
断熱材や気密という概念のない時代にいかに屋内に太陽熱を入れない様にするか…という先人達の知恵で造られた『蔵』がいたる所で見られます。
雨・露をしのぐ瓦屋根の下にはかなりしっかりとした空気層があります。空気層の下の屋根は粉塵などが入らない程度の囲いで良いと思います。
屋根材が受ける太陽熱をその空気層でほぼ完全に建物に影響を与えないようになっているのです。
本来であれば過酷な状況に置かれるはずの屋根がまるで木陰に置かれている様なものです。この工法であれば小屋裏も決して『過酷な状況』にはなりません。
まさにこれが屋根の『日射遮蔽』だと思います。
国土交通省の方たちがこの工法を取り入れないのは、この工法が山口県特有のものかも知れません。『蔵』の写真を載せます。