本当に2025年に日本の住宅の断熱性能は激変するのか?…最終回

断熱等級が2025年から引き上げられることについて長々と書きましたが最後に木造の断熱施工に対する問題点について書きたいと思います。

木造住宅で主に使用されています柱の幅は多くが3寸5分という呼び名の105ミリ幅の角材です。充填工法の場合の断熱材はこの105㎜の幅の間に入れる事になります。

ここで木造住宅の壁の断熱施工で注意しなければならない所は、木造住宅の耐力壁をこれからは『筋交い』で施工してはならないという事です。105ミリの柱に対して45ミリ厚の筋交い材を入れるとなりますと筋交い部分の残りの寸法は60㎜となります。断熱材が50㎜で軽い断熱材の時は筋交いでも大丈夫でしたが、105㎜の厚さで16キログラムの重さの断熱材を入れるとなると筋交いがある所はまともに断熱材が入れられません。構造強度を上げようとして同一ヵ所に筋交いを2本交差して入れるダブル筋交いの所は断熱材を筋交い部分をカットして断熱施工しなければなりません。

当然その所は断熱欠損になります。実際に断熱等級の基準が指定されるまであと2年ありますが、現時点で筋交い工法を選択している住宅会社が2年後に指定通りの断熱施工はおそらくできないだろうと思います。その理由は、断熱と気密の事を本気に検討しているならば『筋交い工法』を採用する事は100%あり得ないからです。

現時点において断熱と気密に関心がない住宅会社が基準が変わったからと言ってすぐに軌道修正は出来ないという事です。

結論といたしましては、本物の高気密・高断熱住宅をお求めになられたいお客様は、現時点で気密と断熱施工に対して真剣に取り組んでいる住宅会社を選択する事が『第一ボタン』であるという事です。第一ボタンをかけ間違えると気が付いた時には手遅れになるといっても過言ではないと思います。